[movie]  黄金のアデーレ 名画の帰還


本当は2015年中に観ておきたかった一作だったのですが、いやいやいや、大傑作ですよ。これを観てたらまたランキングが面倒なことになってましたね。

この作品は、語弊はありますが、言ってしまえば、演出は凡庸で、演技などにも特筆すべきところはありません。しかし、映画というのは、作り手や演者が才覚を見せびらかすまでもなく、傑作として成立しうるのだということがよく分かる作品というか。もちろん、ヘレン・ミレンの演技が下手とかそういうことではなく、といって「抑制の効いた」演技ということでもなく、主張の匂いをさせないというか、あえていうなら「正直」という言葉が奇妙にはまるような感覚があります。

もちろん大前提として、この作品もまた、去年から散々湧いて出てきている「事実に基づく」系であって、例によって「史実」のパワーに乗っかった作品であるのは間違いないんですが、その扱いに「他意」が感じられないんですよね。色気を出していないというか。サイモン・カーティス監督の作品は他に観たことがないので、非常に乱暴な物言いになりますが、この人は何というか、すごく「普通の人」なのかなぁという気がしています。

そんな感じなので、正直、もう少し…と感じられる部分もあるのはあるんですが( 例えば雑誌記者フベルトゥスの絡め方とか)、その一方でそもそも肖像画のモデルとなったアデーレ役のアンチュ・トラウェが完璧だとか、ローダー家の人がやけにキャラ立ちまくってるとか、何やかやで帳消しというか。

まぁ2015年のランキングでも書きましたが、ナチスに収奪された美術品をあるべき人の元へ返す、っていう時点でガタガタ言わずに応援しろ、という話なんですが、やっぱりこういうのにつくづく弱いです。法廷劇風味とかは薄くて、アカデミー賞女優ヘレン・ミレン!とか『ラッシュ プライドと友情』のニキ・ラウダ役のダニエル・ブリュールが!とかいうのもあんまり効いてないつくづく味付け控えめな映画なんですが、映画として優れているかどうかはさておき(おいちゃうのか)、すごく好きな映画でした。『ミケランジェロ・プロジェクト』と並んで、「ナチスから美術品を取り戻す映画」の最高峰と言っていいでしょう。2016年ランキング暫定一位です。(まだ一本しか観てない)

しかし、原題 ‘Woman in gold’が劇中で意味を持つキーワードとなっていることを考えると、この邦題はどうかなぁ、という気がちょっと。

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