[movie] 2015年日本公開映画 個人ランキング

2015年は個人的には例年になく劇場に通った1年であると同時に、例年になく傑作の多かった1年でした。というか、異常としか言いようの無いレベルの高さで、たまたまそういう年に劇場に頻繁に通えたというのは本当に僥倖だったと思います。

あまりに傑作が多いのでランキングの上位が非常に悩ましいのですが、一年間通じてメンテしてきたランキングを下から公開していきます。数本ほど、諸般の事情から劇場で観ていないものもあるんですが、一緒に扱うとして、合計41本。31-40位から10本ずついきたいと思います。

(ちなみに劇場で観たのが37本。ほとんどTOHOシネマズで、6本観ると1本無料とか、あと後半はauスマートパスの月曜1100円が結構活躍してました。)

31-40位

31. ヴィヴィアン・マイヤーを探して

32. メイズ・ランナー

33. ピッチ・パーフェクト

34. ポケモン・ザ・ムービーXY 光輪の超魔神

35. PAN〜ネバーランド、夢のはじまり〜

36. 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!

37. ファンタスティック・フォー
38. ピクセル

39. ターミネーター: 新起動 ジェニシス

40. ジュピター

31位の『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』は別途記事をポストしているのですが、他についても一言ずつ。

『メイズ・ランナー』はある意味、正しいジュヴナイルものという感があり、かつ微妙に『グーニーズ』の香りがするところがあって悪くはなかったのですが、決め手に欠けるために沈んだ感じです。結局、続編も観に行かなかったなぁ。

『ピッチ・パーフェクト』は一部では結構評価が高くて、確かに素晴らしいところもあるんですが、いまいちアメリカ青春映画フレーバーと口からの噴出ネタに引いてしまうところがあってこの位置。

『ポケモン』は、意外と面白かったのですが、クライマックスのプロット処理がもう少し練れただろう、という気がします。この辺りの子供向け映画については最近いろいろ考えるところがあるのでまた改めて考えていきたいところ。

『PAN』は、ヒュー・ジャックマンの怪演という軸もあるにはあるものの、それも含めて想定内というか、まったく期待を超えてくれるところがなく。ピーターパンの前日譚で、ピーターパンとフックが共闘というのはプロットとしては面白いのでちょっと勿体なかった感じ。

『妖怪ウォッチ』は、これは評価がかなり難しくて、上で「子供向け映画については改めて考えたい」と言っている話のきっかけなんですが、そもそも子供にとって面白い、というのはどういうことであって、かつ、それはどういうことであるべきなのか、というところを突きつけてくる映画でした。ただこれもクライマックスのプロット処理が雑なので、個人的には低評価。

『ファンタスティック・フォー』は、これはもう業界でも公開前からいろいろ言われていて関係者の内輪揉めの話まで流れてきていたので、中身についてはお察しなんですが、それでも前半は面白かったとあえて言いたい。人間関係、とまでは言わないもののメンバーが徐々にチームになっていく感じと微妙な距離感は嫌いじゃなかったです。しかし、スーパーパワーを身につけてからが酷い。スーパーパワーを身につけたところで、「俺たちの戦いはこれからだ!」って言って終わってくれていれば、ランキングは10位は上がったのではないかという気がします。

『ピクセル』。この辺りからランキングが私怨ドリブンになってきます。映画としての出来不出来だけではなく、個人として「これは個人的にアウト」みたいな線を無神経に踏み越えていく映画については評価上のペナルティが大きく効いてきます。『ピクセル』については、80年代のビデオゲームファンに色目を使った題材でありながらその肝心な「ビデオゲーム」を「まったく愛していない」作りが本当に許しがたい。ゲームでエイリアンと戦う、などというパーフェクトなプロットでありながら、実際にはゲームの仕組みの中に存在しないような流れで勝つという杜撰さ。主人公に「パターン認識」という特殊能力を持たせておきながら後半はそれがまったく出てこない。開いた口が塞がらないとはこのことです(私怨バイアス)。

『ターミネーター』については、これも観る前から地雷臭が濃厚に漂っていたので、ある意味観に行った方が悪いのですが、それでも何というか「どうやってももう少し面白くできるだろう」という思いが拭えず。「ダダンダンダダン」というあの音楽が入ったところだけちょっとよかったので、それで辛うじて最下位を免れています。ある意味、過去作の遺産。

『ジュピター』は、悪い意味で厨二的というか、小学5年生的で、かつテキトーな作品でした。あ、絵は綺麗。以上。

まぁ、『ジュピター』については、観ている時に感じた、「少年漫画じゃなくて少女漫画だなぁ」という感覚については少し掘り下げてみたいと思ったのでこの辺も来年の課題。

ということで、続いて21-30位まで。

21-30位

21. ベイマックス

22. ジョン・ウィック

23. ミニオンズ

24. セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター

25. シェフ

26. ナイトクローラー

27. ゴーン・ガール

28. リトルプリンス 星の王子さまとわたし

29. エベレスト3D

30. チャッピー

『ベイマックス』は非常に面白かったです。日本公開時のマーケティングは正直、気に入らないところではあるのですが、まぁオリジナルの世界観をスポイルするわけでもなく、ああいうハートウォーミングなフレーバーも本作での重要な要素の一つではあるので、許容範囲。ただ、やっぱり地味なんですかね、全体として。面白かったし凄えなぁとも思ったんですが、大絶賛という感じにはいたらず。しかし、これで20位に入れないのかぁ。

『ジョン・ウィック』はキアヌ兄さんが「引退した凄腕の殺し屋が愛犬を殺されてブチ切れ、ギャング団を皆殺しにする」という完璧なプロットを、抑制の効いた完璧な演技でこなす佳作でした。この人はここ10年くらい、ああいう「沈鬱な表情」しか観てない気がするんですが(そうでない時は「愛に耽溺してる演技をしている」と思われる無表情なラブシーン)、そのポジションが本人にも合っているのかもしれません。兄貴に幸あれ。

『ミニオンズ』も本当によくできた、文句なしの傑作です。もっと上でもいいんですが、今年は相手が悪すぎる。劇中、イギリス女王の肖像画を見せられたケビンが「ら・くからーちゃ?」と聞いたりしていて、ミニオン語に紛らせてスペイン語で「ゴキブリ?」って言っている辺りとか、どさくさに紛れて何言ってんだ、という、すごくカジュアルなブラックさが本当に素晴らしいです。ちょっとありえないくらい素晴らしいのでランクはもっと上でもいいかもしれません。

『サルガド』の映画は、これは私がサルガドの写真が好きだということもあるんですが、ドキュメンタリーとしても非常にレベルの高い傑作だと思います。ヴィム・ヴェンダース監督の何ともストイックな画作りと構成が、中盤から後半の恐ろしくヘビーな話を非常に効果的に受け手の心に送り込んでくるのがしんどくて最高でした。

『シェフ』は、これは出張の機内で観たもので、まぁそのくらいでちょうどいい感じの、肩に力を入れる必要のない小ぶりな佳作で。ファヴロー組が出てくるんで妙にキャストが豪華なんですが(社長が社長役で出てくるとか)、とりあえずキューバ風ホットサンドがうまそうで大変よろしいです。お腹の空いた時に観たい一品。

『ナイトクローラー』は、巷でも言われている通り、ジェイク・ギレンホールの演技が素晴らしくて、なかなか後味の悪くて良い映画だったのですが、個人的には、「もっと後味悪くてもいいのよ?」という感じで、もう少し踏み入って欲しかったところ。

『ゴーン・ガール』は、えーと、今年はちょっと盛り沢山すぎて、年初に観た奴は記憶が薄らいでいるのですが、デビッド・フィンチャーの凄みは健在で、あと女刑事役のキム・ディケンズという女優さんが気に入った、というようなことが過去ログに書いてありました(適当)。

『リトルプリンス』は、実はちょっと期待はずれだったというか、テーマ的に『インサイド・ヘッド』に通じるところが一部あって、そこで損をしているのと、あとお行儀がよすぎるというか、あれだけ広く親しまれている原作をベースにするなら、もう少し遠くまで飛んでもいいのではないかという気がした、というところで、期待値に対する着地点ということでこの評価になってます。

『エベレスト3D』は、そりゃタイトルに「3D」って入れる必要あるわ、みたいな映画でした。今年、個人的に見出した課題のもう一つ、「『実話に基づく』ということ」について考えるきっかけとなった作品でもあって、その悪いサンプルというか。「実話に基づく」に甘えている映画と、そこに甘んじない映画というものがあって、この点を考えているうちに自分の中でのロン・ハワードの評価が貰い事故的に上昇しました。『白鯨』超期待。

『チャッピー』も、期待が高かったが故に逆に低い評価に落ちた作品です。「社会環境による『人間性』の変容を二重構造で描いて一点に集約させて終わる」は『第9地区』でやったじゃねえかよ、しかもそっちの方が面白かったよ、というのと、あと事前に結構な炎上になった「ゴア・シーン」のところ、あれ、カットされたこと自体は個人的にどうでもいいんですが、むしろチャッピーにやらせた方がよかったという気がするので(※個人の見解です)、その辺で減点が重なってのこの順位でした。あとヒュー・ジャックマンの怪演が(以下略)。

続いて、ここから異常に熱い激戦となる11-20位。

11-20位

11. ジャッジ 裁かれる判事
12. アメリカン・スナイパー
13. ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション
14. ミケランジェロ・プロジェクト
15. トゥモロー・ランド
16. ジュラシック・ワールド
17. キングスマン
18. プリディスティネーション
19. Ex Machina
20. バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡)

『ジャッジ 裁かれる判事』は、極めて個人的な好みであることは100%承知した上で、それでも大傑作と言いたいんですが、世間的には駄作扱いがすっかり確定してますね。いわく「無駄に長い」。142分は確かに長い。認めましょう。「コーン畑のあの必要がない上にレベルの低いCGは何だ」。はい、私も萎えました。しかし、メソッド・アクターとして実は相当の努力をしているにもかかわらず、すっかり社長として定着してしまった社長の「悲願」が透けて見えるような熱演が、個人的な経験に突き刺さる作品のテーマが、ロバート・デュヴァルが、そして何より、法廷パートのラスト、何かを振り切るようにばっと向き直るダウニーの瞳から落ちる微かな一瞬の光の粒を捕らえた繊細な撮影が、もう本当に本当に素晴らしいので、この作品の評価については今後、しっかり私が世界と戦っていきたいと思います。

『アメリカン・スナイパー』は、「よい『実話に基づく』の例」だったわけですが、あの歴史に残すべき無音のエンド・ロール含め、「やるせなさ」の巨匠、クリント・イーストウッドの魂がこちらの魂に圧倒的質量でのしかかってくる圧殺系の傑作でした。うかつに見ると命が危ない。

『ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション』は由緒正しいトム・クルーズ映画でありながらも正しくミッション・インポッシブルでありつつ、かつダブルヒロインという英断によって重層的にプロットを厚くしてきているという傑作で、これをして10位に入れないというこの異常さよ。いろいろ特筆すべきところはあるんですが、あえて一つ挙げると最後の盛り上がりポイントの直接対決シーン、ばっと立ち上がったイーサンが無造作に自分を盾にしてガンガン銃撃戦を始めるんですが、これが「口座情報はもう彼の頭の中にしかない」ということを踏まえた戦術だということを別に説明もせず、いきなりトップスピードで展開するところが実に熱いと思うわけです。一瞬、置き去りにされて「ああ!」と思い至るあのカタルシスは、作り手が観客を信頼して始めて成立させうる構造であって、この調子でどんどん置き去りにしてほしいと観客は思っております。

『ミケランジェロ・プロジェクト』は兄貴界の重鎮であるジョージ・クルーニーが「ナチス・ドイツの手から人類の遺産である美術品を取り戻す」という、個人的には弱点属性でダメージは2倍!的な衝撃を持った作品でした。これもあまり世間の評価は高くなくて、かつ客観的には非常に頷けるところが多いんですが、「ナチから聖母子像をとりもどそうっていうんだからガタガタ言わずに応援してろ!」みたいな話なわけです。この作品は、「みんなのかつやくによってびじゅつひんがぶじにとりもどされたのがよかったです」ということで。

『トゥモローランド』は、これも世間の評価は低いんですが(そんなのばっかり)、心の中に「トゥモローランド」を持っている人種というのがいるんですよね、世の中には。そんな人のための作品だと思います。ラスト、世界中の「正しきことのために戦っている人たち」のところにバッジが届くシーンに、裁判官が混じってるんですよね。未来の科学の希望ではなくて、「人類の希望」を謳っている作品だということの表明なわけですが、もうそれだけで大絶賛したくなるわけです。荒木飛呂彦じゃないですが、人間賛歌というか、人間の魂の崇高さみたいなものを目指した作品なので、出来はさておき、個人的にはやはり全力で推したいと思います。観終わった後、アメリカから取り寄せてトゥモローランドバッジを買ってあるので、いつか準備が整ったら行ってみようと思います。

『ジュラシック・ワールド』は、清く正しくジュラシック、という感じで非常に好感度の高い、潔い映画でした。モササウルス最高。

『キングスマン』については、コリン・ファース、マーク・ストロング、サミュエル・L・ジャクソン、マイケル・ケインの内の誰か一人でも欠けてたらダメだっただろうなぁという、非常に危ういバランスの上に成り立っている作品という印象があります。ものすごくピーキーなプロットと絵を、この辺のパワフルなキャスト陣が演技力と存在感で無理矢理締めているというか乗りこなしているというか。とりあえず、いいぞ、もっとやれ、という感じで続編希望。

『プリディスティネーション』は、タイムトラベルものとしては一つの頂点と言えるプロット一点勝負の作品です。イーサン・ホークも渋くなってていいんだけど、このプロットはやはり良くも悪くも極端で、人を選ぶかもしれません。個人的には天晴れ、という感じでした。作品の性質上多くは語れないのですが、これは本当に凄かったです。

『Ex Machina』は出張中に観たんですが、これ、未だに日本公開未定なんですかね。これについては、他とは逆に、世間の評価が自分の評価より高い感じなんですが、しかし、どういう判断があるのか知りませんが、こういうのが公開されないのは市場の状態を象徴しているようでよろしくない限り。個人的には普通の良作というくらいでしたが、こういうタイプの作品も普通に流れてきてほしいものです。

『バードマン』も、言われているほど、というところではあったんですが、やはり見応えはあって、エマ・ストーンのゲッコー顔とか、やはり観るものを惹きつける何かに溢れているわけです。ただ、やっぱり世間の絶賛ぶりには違和感は否めないところが。長回し風味とか作り手自身が割と真正面から変化球宣言をしている作品だと思うので、そこはやはり変化球として受け止める方がいいんじゃないかなぁと個人的には思います。

ということでいよいよ大詰め、4-10位。

4-10位

4. イミテーション・ゲーム

5. スター・ウォーズ フォースの覚醒

6. アントマン

7. インサイド・ヘッド

8. フォックスキャッチャー

9. スペクター

10. コードネーム U.N.C.L.E

『イミテーション・ゲーム』も、「よい『実話に基づく』」でした。第二次世界大戦中、ドイツ軍が利用していた「難攻不落」の暗号生成器、エニグマに挑む数学者であり、また個人の内面を外界が許容しなかったがために、ついに人生において「折り合い」をつけることが許されなかった一人の悲運の個人である主人公アラン・チューリングをカンバーバッチが見事に演じ切った傑作だったわけですが、これも個人の弱点属性を突きまくる倍ダメージ攻勢でもうメロメロというか。学生時代の友人の名前を「後から」出す構成とか、もうあざといとしか言えないんですが、まんまとやられてしまいました。お見事。あとマーク・ストロングが髪が極少バージョンでよかったです。(なんだそれ)

『スター・ウォーズ フォースの覚醒』については、まだ記憶も鮮明なんですが、まぁ逆に自分の中でもまだ咀嚼中なのであまり触れずにおきます。まだ観ると思うし。とりあえずJJは本当によくやった。本来なら1位でもおかしくないけど今年は運が悪かった。

『アントマン』は、正直こんな上でいいのか、と覚束なさを感じなくもないのですが、「一服の清涼剤」というか、すっと自分の中にはまった感じがあります。実際、MCUはこの後が『シヴィル・ウォー』なわけで、よくこのタイミングでこれをやっておいてくれたな、という感謝の気持ちも順位を押し上げている気はします。MCUというシリーズに閉じた話だけでなく、やはりこういう作品がないとダメだよなぁ、というバランス感。

『インサイド・ヘッド』も本当に傑作で、7位というのは正直申し訳ないレベルではあります。人間の感情を心理学的に小賢しい感じでキャラ付けして、精神分析的にしゃらくさい感じのプロットに仕立てた作品になる可能性は結構高かったと思うんですが、そこはさすがにピクサー。「カナシミはなぜあるの?」という根源的な疑問に、プロット的にも物語的にも美しく答えている辺りはもう脱帽としか言えません。日本版オンリーのドリカムの主題歌と結婚式のアマチュアビデオみたいな特典映像モドキは今でも許してないけど、作品は素晴らしかったです。

『フォックスキャッチャー』は思い出すだに暗い気持ちになる大傑作で、ラストシーンの後、実はハルクが大暴れしているという裏ストーリーがなければ本当に生きているのが辛いレベルでした。とにかく主要キャスト3人の演技がもう凄まじい。チャニング・テイタムのやばいレベルの白痴顔とか、スティーブ・カレルの背が低いのに常に人を上から見る目線とか、ラファロ先生のにじみ出る「いい人」オーラとか、本当に鬼気迫るという他はない、とんでもなく高レベルな戦いで、すっかり超サイヤ人の戦いを下から見上げるヤムチャの気分でした。それにしても「実話に基づく」とは言え、何というストーリーか。とんでもない映画でした。これももっと上の順位でいいはずの作品です。

『スペクター』は、前作が『スカイフォール』ということで、ある意味とんでもないハンデを負わされたところからスタートしている作品なのですが、 サム・メンデス監督はちょうどいい塩梅の、軽やかな「再起動」をやり遂げたな、という感じです。007としての「軽さ」というものがスカイフォールを踏み台にして正しく再達成されている、というか。冒頭、崩壊する建物から落下したボンドがたまたま下にあったソファに着地して、というくだり、一番最初にリアリティ・ラインを綺麗に提示する親切設計だったと思うのですが、そういう意味でも、最初から最後まで一貫して、クリアな指針を丁寧に貫いた作品だったと思います。あと、撮影監督のホイテ・ヴァン・ホイテマの「隙あらば綺麗な絵」という撮影も楽しくて、ここでもロジャー・ディーキンスが才気に溢れた素晴らしい撮影をしている『スカイフォール』との対照がおいしいポイントでした。

『コードネーム U.N.C.L.E.』は、これもある意味、『アントマン』と同じく口直し的な位置づけで上位に食い込んできた作品という気がします(※個人の感想です)。改めて振り返るに、今年はやたらと「実話に基づく」が多かった気がするんですが、同じくスパイ物が大豊作だった年でした。定番となったシリーズが2本並び立っている中で、無難に3匹目のドジョウを狙うでもなく独自色を確立しに行ってしっかりそれを成し遂げた本作と『キングスマン』には惜しみない拍手を送りたいと思います。

さて、それではいよいよ2015年のトップ3です。

2015年 Top 3

1. セッション

2. マッドマックス 怒りのデス・ロード

3. アベンジャーズ: エイジ・オブ・ウルトロン

1位の『セッション』は、これはオールタイムでも間違いなく上位に来る大傑作でした。個人的には『スパイダーマン』シリーズの「デイリー・ビューグル」編集長役、という印象しかなかったJ. K. シモンズと、これまでまったくノーマークだったマイルズ・テラーの、「鬼気迫る」という言葉ではまだ足りないレベルの演技を推進剤に、あらゆる雑音をぶっちぎって上の次元に突き抜けるようなラストシーン9分は、もう何度見ても震えます。狂気の鬼教官の度を越したシゴキという要素がどうしてもケレン味的に目につくところはあると思うのですが、実際には結構緻密な作りになっていて、すべてがラストシーンに収斂していく構成になっており、観るものを無理やり発射台に引きずり込んで一緒に空に打ち上げるような油断のならない映画です。その一方、この映画が目指していた(そして達成した)ものは、まさに「最後の9分」そのものであって、それはいわゆる普通の映画とは違う方法論であるような気もしています。それは映画というよりは、むしろ音楽というものがたどり着く一つの境地を、映画というプラットフォームから再現する試みのようでもあって、映画を表現手段として『セッション』という作品を作り上げた、というのが今回のデミアン・チャゼルの成し遂げた偉業だったと思います。あともう一つあえて言うと、この映画のエンド・ロールも含めた終わり方は本当に完璧で、『アメリカン・スナイパー』と並んでベスト・エンディング賞をぜひ授与したいところでした。

2位の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は、これはもう言を費やすに及ばず、というか、むしろ言葉を重ねるほど遠ざかるタイプの映画だと思います。とにかく純度が高いマッドマックスというか、純度が高いデス・ロードというか、一つの作品をここまで研ぎ澄まして完成度を極めていくということを、いったい何が可能にしているのか、というのは非常に興味深い問題です。けっこう世間でも騒がれたのでいろいろとどうでもいい議論も起こっていたように思いますが、個人的にはこの映画のポイントは最初、名を名乗らなかったマックスが最後に名乗るということと、劇中、フュリオサがポツリと漏らす「Redemption」という言葉だと思っています。その二つはある意味、西部劇のモチーフでもあるんですが、それらは今作では対になっていて、劇中を通じて相互に解消していくような構造になっていて、この辺り、この映画が単純なパワータイプの映画ではなく、ジョージ・ミラー監督が(ひょっとしたら本能と嗅覚で)到達した「高み」であると私が感じる根拠だったりします。しかしまぁそれはさておきV8、という気もするわけで、本当に凄い作品でした。

3位の『アベンジャーズ: エイジ・オブ・ウルトロン』は、こうして三つ並べるとさすがに一段落ちるのですが、その一方、他の二つとはとても対照的な作品だとも思います。セッションとマッド・マックスは作品性というか、作り手の作家性の純粋な結晶という感があるのですが、このAoUはMCUを運営するケビン・ファイギがマーケティングも含めた無数の観点を調整しながら作り上げた巨大な構築物という性質があって、それぞれ別の軸での究極という感じがするわけです。AoUの方は作り始める時点で既に大量の初期設定というものがあり、おそらくは膨大な数の制約事項があり、そしてMCUの流れの中で当作で実現しておかないといけない中間ゴールというものが作品そのものの外の枠に存在しています。このAoUという作品は、その途方も無い複雑系の中で最適解を見つけるという営みであって、その観点で見るとやはり今作は卓越しているという他はありません。プロジェクト・マネジメントという観点で考えるとこの作品は本当に異常なのです。映画というものをどういう軸でとらえるかによって評価は様々で、この映画を高く評価しない価値観というのもいくらでも想像できてしまうわけですが、そういう意味で考えると、今年のTop 3は、翻って自分の評価軸が明確にされるような、インパクトの強い作品たちでした。

まぁ、分かっていたことですが、あらためて振り返ると、振り返るだけでも死にそうになるくらいに濃密な一年でした。これだけ観てきて、これだけ傑作も揃っていて、まだ『クリード』とかが漏れているという。来年も初っ端から傑作の予感が濃厚な作品がズラリと並んでいるので年末年始でしっかり休んでまた頑張っていきたいと思います。いやぁ、いい年だった、2015年。

あ、そうそう、41位は『ラン・オールナイト』です。

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